南京大虐殺生存者の郭林大氏は今年1月６日に逝去、享年93歳である。

  1937年12月13日に日本軍が南京を侵略し占拠した時、郭林大氏はわずか7歳だった。日本軍はその大爺（祖父の兄）と家の牛を殺した。郭林大氏は祖母の家まで逃げ込んで数日してから、日本軍に来られ祖母を強姦された。幸い死を逃れた郭林大氏は命が助かったが心の傷は一生消えなかった。生前はいつも孫たちにその経歴を語って平和を祈り、戦争のない世界になるようにと願っていた。

  南京大虐殺生存者の李美蘭氏は1月13日に逝去、享年96歳である。

  1937年李美蘭氏は10歳で、家は南京清涼山にあった。家族は両親、姉、二人の弟と妹がいて、父親の李文焕氏は野菜を栽培した。侵華日本軍が南京城に入る前に、その家族は日本軍機の爆撃を避けるために清涼山の裏側に防空洞を掘ったが、防ぐことができないじゃないかと心配して、一家は難民区にある傅佐路の母親の実家に逃げ込んだ。数日泊まっていたら、やはり危険だ思って、李美蘭氏の母親は子供を連れて金陵女子大学に行って避難した。その父親、祖母並びに叔父夫婦は実家に隠れた。1937年12月14日、彼女の父親李文焕氏は傅佐路の母親の実家で日本軍に捕らえられ、下関の川辺に押し寄せられて、射殺された。このことを知った母親は毎日泣き暮らしていたと李美蘭氏は生前追憶した。

  家の大黒柱を失われた母親は李美蘭氏兄弟と金陵女子大学でお粥を食べて艱苦に満ちた日々を送った。一年後に母親はまた子供を連れて実家に戻り、小屋を掛け茶館を開いて暮らしを立てた。

  南京大虐殺生存者の葛道榮氏は1月21日に逝去、享年96歳である。

  南京大虐殺期間中、金陵女子大学難民区に隠れていた葛道榮氏は突然押し入る日本軍にひどく横面を張られ、銃剣で右足を突き刺された。幸い死を逃れたが心の傷と体の傷は一生ついていた。彼の叔父の葛之燮氏、潘兆祥氏と王均生氏は皆日本軍に殺され、尊い命を失わされた。

  ここ数年来、葛道榮氏は心に刻み付いた歴史を飽きることなく何回も何回も語った。彼は数十万字の個人回想録を整理し製本して、「歴史を銘記」と名付けた。これを特別な「伝家の宝物」として葛家の子孫に伝えようとする。

  去年の重陽節に、記念館は葛道榮氏を招き、「壽」の字を書いたり出し物を鑑賞したりしていただいた。葛道榮氏は大喜びだった。ところが、これは彼の参加した最後の記念館活動だとは思われなかった。この世を去ったが、その面影が永遠に忘れられない。

  南京大虐殺生存者の周湘萍氏は1月30日に逝去、享年94歳である

  1937年周湘萍氏は8歳で、父親は39歳だった。その年の12月13日父親は周湘萍氏の叔父と兄を呼んで横丁へ出かけようとした。三人が家を出たところ、何人かの銃剣を手に持った日本軍に遭遇し取り囲まれた。これを見ていた周湘萍氏と姉は玄関の裏側に隠れ、恐怖で足が震えていた。日本軍に押し寄せられて家の前まで来たら、父親は家にいて家族を養わなければならないと表したが、一人が労力に行かなくてはいけないと日本軍に言われ、息子がまだ小さいし、自分の弟も頭が良くないからと考えたので、日本軍について行った。その日の午後、父親は南門外烏亀橋の上で日本軍に殺されたのを見ていた人が家までこの消息を知らせに来た。周湘萍氏の父親を探しに行った祖父も日本軍に殺された。後に、母親も兄も父親と祖父の遺体を中華門、江東門あたりまで数日かけて探しに行ったが、見つからなかった。

  2014年11月26日の午前、周湘萍氏は日本東京宗教連合会の一行に自分の父親と祖父が同じ日に日本軍に殺害された残酷な事実を講述していた。

  南京大虐殺生存者の张惠霞氏は2月9日に逝去、享年94歳である。

  1937年、8歳の张惠霞氏は祖母、両親、叔父、二人の弟、それに妹と一緒に南京長楽路三坊巷47号に住んでいた。南京陥落後、家族全員が難民区に逃げ込み避難した。张惠霞氏は生前以下のことを追憶していた。1937年12月14日の昼頃、難民区の近くにたくさんの日本軍が来た。彼女は父親と叔父に寄りかかったが、何人かの日本軍がやって来て銃で突き、その父親、叔父と近くにいた四五人の男性を押しながら連れて行った。张惠霞氏は「お父さん、おじさん、行かないで……」と泣きながら叫んだが、日本軍に銃で遮られた。彼女は急いで難民区へ駆けつけ家族に知らせた。祖母は杖をつき孫の张惠霞を引いて、珠江路、漢口路あたりを探し回った。二人は泣きながら探して歩いたが、日が暮れる時になっても見つからなかった。わずか29歳の父親と27歳の叔父はそれきり消息が途絶えたままである。数十年経っても、父親と叔父が押されて連れて行かれた時の様子は彼女の頭の中に焼きついている。